中国人との国際結婚手続き
日本人と中国人が結婚する場合、次の2つのケースに分けて考える必要があります。(クリックすると各記事に移動します)
1 中国人が中国に居住している場合(中国で結婚)
2 中国人が日本に居住している場合(日本で結婚)
1 中国人が中国に居住している場合
(1)法律等の根拠
1983年8月17日付け、中国・民政部配布の「中国公民と外国人の婚姻登記手続きに関する規定」により、中国人と外国人が中国において結婚する場合、当事者双方が婚姻登記機関に出頭し登記することを義務付けています。すなわち、中国にいる中国人と外国人との婚姻は中国法に基づいて中国の方式によって行うべきとあるとするのが中国政府の見解です。
従いまして、中国にいる中国人と日本にいる日本人が日本において日本の方式で婚姻しても、中国法上は有効な婚姻とは認められません。いわゆる跛行婚となってしまい中国では婚姻が承認されないことから、その婚姻をした中国人には渡航許もおりません。中国人いる中国人と日本にいる日本人が婚姻をする場合は、日本の方式でななく中国の方式によって婚姻を行わざるをえないと言えます。
(2)中国の方式による婚姻手続き
① 婚姻登記機関への双方による出頭
婚姻をしようとする男女双方は自ら、中国人の戸口(戸籍)所在地の省、自治区、直轄市の人民政府が指定する婚姻登記機関に出頭して婚姻登記を行う必要があります。
② 婚姻登記
婚姻登記機関は、申請について中国婚姻法所定の要件を審査した上で、同法の規定する婚姻要件を具備している場合には申請を受理して婚姻登記を行い「結婚証」を発給して当事者に交付します。中国婚姻法では「婚姻証の取得により、夫婦関係は確率する」を定められており、婚姻登記が婚姻の成立要件であることが分かります。
③ 日本への報告的届出
中国で婚姻登記をして日本に帰国後、日本の役場に婚姻届出(報告的届出)を行う必要があります。すでに婚姻は中国の方式によって有効に成立していますが、日本人の戸籍に反映させる必要があるため、日本の役場にも届出を行います。婚姻届に添付する書類としては、結婚相手の「出生公証書」と「婚姻公証書」です。証人や結婚相手の署名は必要ありません。
④ 在留資格認定申請
日本人の妻または夫として日本で生活を営もうとする中国人は「日本人の配偶者等」という在留資格(いわゆる「ビザ」)を取得する必要があります。この場合は、日本人の所在地を管轄する入国管理局に対し、配偶者(中国人)の在留資格認定証明書の交付申請を行うことになります。
当事務所では、この「在留資格認定申請」の手続きを行っております。
(3)必要書類
中国国内で結婚する場合、各地の婚姻登記機関によって若干必要書類が異なりますので、あらかじめ確認をしておく必要があります。
① 日本人の必要書類
- 旅券(パスポート)
- 戸籍謄本(2通)*念のため多めに準備しておくとよいと思います。
- 住民票 *念のため多めに準備しておくとよいと思います。
- 在職証明書(地域によって不要の場合あり)
- 住民税の課税証明書(地域によって不要の場合あり)
- 住民税の納税証明書(地域によって不要の場合あり)
- 婚姻要件具備証明書*下記ご参照
【婚姻要件具備証明書について】
婚姻要件具備証明書とは通称「独身証明書」とも言いますが、その者がその国において婚姻年齢に達していること、独身であり婚姻する要件を満たしていることを証明する書類のことです。
中国の方式によって結婚する場合、日本人の婚姻要件具備証明書は次の手順で取得します。
- 法務局または地方法務局及びその支局において、婚姻要件具備証明書を発行してもらします。
- 次に日本国外務省領事部の証明班において婚姻要件具備証明書に公印証明をしてもらいます。
- さらにそれを駐日中国大使館領事部または地方総領事に持参して証明印をもらいます。
ここまでいって完成です。
② 中国人の必要書類
- 戸口簿
- 居民身分証(身分証明書)
- 婚姻状況証明書(中国人の戸口(戸籍)所在地の公安局が発行します)
- 離婚歴がある場合は、さらに離婚証明が必要
2 中国人が日本に居住している場合
(1)法律等の根拠
留学や就労などによって日本にすでに居住している外国人のかたがいます。日本に居住している外国人と日本人が結婚する場合は、日本の法令の「法の適用に関する通則法」23条3項ただし書きによって、常に日本の方式により婚姻することが要求されています。
ところで、中国の法律「中国民法通則第8章(渉外民事関係の法律の適用)」では、その147条によって「中国公民と外国人の婚姻には婚姻締結法の法律を適用する」と規定されています。すなわち、日本に居住している中国人と日本人が日本において婚姻する場合は、婚姻締結法である日本の法律が適用されるとしています。
中国政府も、「婚姻締結法の法律に照らして締結した婚姻に対しては、たとえ婚姻の実質的要件または形式的要件のある事項が中国婚姻法の規定と符合しなくても中国は異議を表明しない」(1989年12月27日中国外交部回答)としており、中国法上も有効な婚姻として承認されます。
婚姻の方式については、厳格な本人出頭主義を採用する中国法も、当事者双方が日本に居住する場合は日本を「婚姻締結地」と認めています。
(2)日本の法律による婚姻手続き
① 婚姻届
日本の方式による婚姻とは日本民法に定める方式であり、それは戸籍法に定めるところにしたがって市区町村長に婚姻届をすることです。
② 在留資格変更申請
日本人の妻または夫として日本で生活を営む中国人は必要に応じて、現在の在留資格(ビザ)を「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)に変更申請します。
この場合は、夫婦の居住地を管轄する入国管理局に対し、配偶者(中国人)の在留資格変更申請を行うことになります。当事務所では、この「在留資格変更申請」の手続きを行っております。
(3)必要書類
各市区町村によって若干必要書類が異なりますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
① 日本人の必要書類
- 戸籍謄本
② 中国人の必要書類
- 旅券(パスポート)
- 在留カード
- 婚姻要件具備証明書(訳文付き)*下記ご参照
【婚姻要件具備証明書について】
婚姻要件具備証明書とは通称「独身証明書」とも言いますが、その者がその国において婚姻年齢に達していること、独身であり婚姻する要件を満たしていることを証明する書類のことです。
日本に居住する中国人が日本で婚姻する場合は、日本にある中国大使館領事部により発行される「中国人の婚姻要件具備証明書」が必要です。
当事務所に結婚ビザ、配偶者ビザの申請代行をご依頼いただいた場合、結婚ビザ、配偶者ビザのご相談、必要書類の確認、申請書類の作成、申請代行を行います。お客様が入国管理局に出向く必要はありません。