フィリピン人との国際結婚手続き
日本人とフィリピン人が結婚する場合、次の2つに分けて考える必要があります。(クリックすると各記事に移動します)
1 フィリピン人がフィリピンに居住している場合(フィリピンでの結婚)
2 フィリピン人が日本に居住している場合(日本での結婚)
1 フィリピン人がフィリピンに居住している場合(フィリピンでの結婚)
(1)婚姻手続きの手順
フィリピンにおいて日本人とフィリピン人が婚姻する場合は次の手順で行います。
① 婚姻要件具備証明書の申請および受領
② 婚姻許可証の申請および受領(フィリピン人婚約者居住地の市町村役場)
③ フィリピンでの挙式および婚姻証明書への署名
④ 婚姻届の提出(日本の市区町村役場または在マニラ日本国総領事)
⑤ CFOセミナー受講
⑥ 在留資格認定申請(日本の入国管理局)
⑦ 査証申請
以下、各手順の解説です。
① 婚姻要件具備証明書の申請および受領
フィリピンにおいて日本人とフィリピン人が婚姻する場合には、日本人当事者は在マニラ日本総領事において「婚姻要件具備証明書」を入手する必要があります。日本人当事者以外は申請できません。日本人当事者が、下記の必要書類を準備して申請します。(申請をした翌開館日午後2時から3時の間に交付されるようです)
婚姻要件具備証明書が入手できましたら、婚姻届出等の際に必要になるかもしれませんので数枚コピーをとっておくようにしましょう。
Ⅰ 日本人
- 戸籍謄本1通(発行後3か月以内のもの)
- 除籍謄本または改製原戸籍1通(離婚歴がある場合には、以前の婚姻歴が記載された除籍謄本または改製原戸籍が必要です)
- パスポート原本
- 婚姻同意書(男性18歳、女性16以上で20歳未満の未成年のかたは、両親等法定代理人の承諾書が必要です)
Ⅱ フィリピン人
- 出生証明書謄本1通(国家統計局(以下、NSOと言います)発行のものがよい)
出生証明書がない場合は以下のような書類が必要になります。
- 出生記録不在証明書1通(市町村役場またはNSO発行のもの)
- 洗礼証明書1通
- その他必要に応じて、追加書類を求められる場合があります
② 婚姻許可証の申請および受領(フィリピン人婚約者居住地の市町村役場)
婚姻要件具備証明書を取得後、その証明書をもってフィリピン人婚約者が習慣的に居住している地域(例えば、少なくても6か月以上継続して居住している住所地)の管轄市町村役場に当事者双方が出頭し、婚姻許可証の申請を行います。
婚姻許可証の申請後、申請者の氏名、住所および婚姻許可申請書の記載事項が地方民事機関事務所に継続して10日以上公示されます。工事期間満了後、特に問題がなければ婚姻許可証が発行されます。この許可証は発行から120日間、フィリピンのどの地域においても有効です。この期間内に同許可証を使用しない場合には同許可証は自動的に失効します。
③ フィリピンでの挙式および婚姻証明書への署名
フィリピンでは、婚姻を挙行できる権限のある者(婚姻挙行担当者)が法律で定められています。判事または牧師等がこの婚姻挙行担当官となっていますので、これら婚姻挙行担当官および成人2名以上の証人の面前で結婚式を挙げ、婚姻当事者双方は婚姻証明書に署名を行います。
挙式後、婚姻挙行担当官より婚姻証明書が挙式地のフィリピン市町村役場に送付され、これを受領した地方民事登記官が登録を行います。登録された婚姻証明書の謄本は、日本における「婚姻届」の提出の際に必要となります。
④ 婚姻届の提出(日本の市区町村役場または在マニラ日本国総領事)
フィリピンで婚姻し帰国後に、日本の役場にも婚姻届出(報告的届出)を行う必要があります。すでに婚姻はフィリピンの方式によって有効に成立していますが、日本人の戸籍に反映させる必要があるため、日本の役場にも届出を行います。婚姻届に添付すする書類としては、結婚相手の「出生証明書謄本(日本語訳文付き)」と「婚姻証明書謄本(日本語訳文付き)」などです。(事前に市区町村役場に確認されておくことをおすすめします)証人や婚姻相手の署名は必要ありません。
⑤ CFOセミナー受講
CFOは「Committee on Filipinos Overseas(海外居住フィリピン委員会)」の略称です。マニラやセブにあります。外国人と結婚し相手国に渡り、生活しようとするフィリピン人はこのセミナーを受講する必要があります。このセミナー受講を修了すると受講証明書が発行されます。また、パスポートおよび査証発給後に、再度、CFOにてステッカーを貼付してもらいます。このステッカーがパスポートに貼付されていないと空港でストップされフィリピンから出国することができません。
⑥ 在留資格認定申請(日本の入国管理局)
日本人の妻または夫として日本で生活を営もうとするフィリピン人は「日本人の配偶者等」という在留資格(いわゆる「ビザ」)を取得する必要があります。この場合は、日本人の所在地を管轄する入国管理局に対し、配偶者(フィリピン人)の在留資格認定証明書の交付申請を行うことになります。
当事務所では、この「在留資格認定申請」の手続きを行っております。
⑦ 査証申請
在留資格認定証明書を取得できましたら、フィリピンにいる配偶者に送ります。それをもって、在フィリピンの日本領事館に査証申請を行います。必要は次の通りですが、在フィリピン日本領事館にご確認をお願いいたします。
- 査証申請書
- 顔証明写真(4.5cm×4.5cm)2枚
- パスポート
- 出生証明書謄本(NSO発行のもの)
- 婚姻証明書謄本(NSO発行のもの)
- 旧パスポートのあるかたは旧パスポート
2 フィリピン人が日本に居住している場合(日本での結婚)
(1)法律等の根拠
留学や就労などによって日本にすでに居住している外国人のかたがいます。日本に居住している外国人と日本人が結婚する場合は、日本の法令の「法の適用に関する通則法」23条3項ただし書きによって、常に日本の方式により婚姻することが要求されています。
(2)日本の法律による婚姻手続き
① 婚姻届
日本の方式による婚姻とは日本民法に定める方式であり、それは戸籍法に定めるところにしたがって市区町村長に婚姻届をすることです。
② 在留資格変更申請
日本人の妻または夫として日本で生活を営むフィリピン人は必要に応じて、現在の在留資格(ビザ)を「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)に変更申請します。
この場合は、夫婦の居住地を管轄する入国管理局に対し、配偶者(フィリピン人)の在留資格変更申請を行うことになります。当事務所では、この「在留資格変更申請」の手続きを行っております。
(3)必要書類
各市区町村によって若干必要書類が異なりますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
① 日本人の必要書類
- 戸籍謄本
② フィリピン人の必要書類
- 旅券(パスポート)
- 在留カード
- 出生証明書(NSO発行のもの、フィリピン外務省の認証のあるもの)
- 婚姻記録不存在証明書(NSO発行のもの、フィリピン外務省の認証のあるもの)
- 婚姻要件具備証明書(訳文付き)*下記ご参照
【婚姻要件具備証明書について】
婚姻要件具備証明書とは通称「独身証明書」とも言いますが、その者がその国において婚姻年齢に達していること、独身であり婚姻する要件を満たしていることを証明する書類のことです。
日本に居住するフィリピン人が日本で婚姻する場合は、日本にあるフィリピン大使館領事部により発行される「フィリピン人の婚姻要件具備証明書」が必要です。
当事務所に結婚ビザ、配偶者ビザの申請代行をご依頼いただいた場合、結婚ビザ、配偶者ビザのご相談、必要書類の確認、申請書類の作成、申請代行を行います。お客様が入国管理局に出向く必要はありません。